むかし、歯がこわかった。骨だと思ったのだ。人間の中にある、火で焼かないと出てこないものが生きている間にむき出しにされている。それだけで、みんな中身が骨だということをまざまざと思い知らされるみたいで。

そのあと大きくになるにつれて、歯が骨とは違うことを知った。そして初めて親族の骨を拾った。「喉仏が大きいですね、声がよかったんでしょう」と、火葬場の人が言っていたことを覚えている。肝心の骨の記憶はないのだけれど。

今でも足の指がこわい。骨が透けて見えるみたいで。ひぐらしのなく頃にの初期のOPで暗闇から出てくる足はすごくこわかった。パンプスも、指がぎゅってなるかんじが骨を感じさせてこわい(でも好きだから履く)。

知り合いのお父様は散骨したらしい。それはとても素敵だ。ダイアモンドが作れるというのもとても気になるけれど、ぼったくりが多いらしくて少し怖いな。絵具と混ぜて絵を描くことはほんとうにできるのだろうか。そのとき、あなたはどんな絵をかいてくれるだろう。

そんなことをいっても私はまだ、あなたの骨を撒くことも、ダイアモンドにすることも、絵具と混ぜることもきっとできない。たぶん慣例と同じく骨を拾って壺に入れて、石の下に埋める。存在しなくても、いつまでも、確認したいのだ。あなたという人がそこにいることを。海に撒いても絵をかいてもきっと感じられない。お墓の前で泣かないでくださいって言われてもきっと泣く。

優しさは切ない。消えてしまうから。優しさの未来を見ずに、優しさを自分の強さとして受け止められる人になりたい。

 

骨