短歌

葬 その1

いつかしぬ人が静かに梨を剥きいつかしぬ人が新聞を読んでいる 朝 「死んでから三日は耳が聞こえる」なんて誰も知らない優しさばかり 永遠にひらかぬ瞼をかすめゆく「涙そうそう」は彼に届くか もう生きていない もう生きていない人の足わたしが見たのはたっ…

水葬

うつしよと隔てるように石を入れたさらばおとうと 波路遥かに 白波に花が散らばり消えてゆく幾千の日々皆帰らざる ごわごわの麻袋では痛かろうとシルクのスカーフこっそり巻いた いつか誰がか言っていた海の底の都をきっと見に行ったんだね 死ぬことは罪だと…

狂骨の夢

死んだ後ばけものを作る仲間にしてよわたしの骨を一本あげる海べりの女の人のまぼろしを見て見ぬふりして大人になるの冷えきった手足ばかりが赤くなり骨はいつまでも白白と光る生きるのがイヤ 嫌 厭海の底にもまだ土がある汚れてる 体が汚れてる気がして骨に…